ゴキブログ一覧
2007 .8.28
信州で出会った昆虫
昨日,長野に行ってきた.最近は昼間の昆虫はいれば捕るが,興味は夜の昆虫になってしまった.(変な意味はない)しかし,夜中にいい大人がごそごそと人の家の壁際を探していると非常に怪しまれるし,ゴキブリを追っかけていると体裁が悪い.しかし,今回はヤマトゴキブリ成虫♂が1匹取れた.これは嬉しかった.雌ならもっと良かったのだが,その付近では見つける事が出来なかった.
子供の頃,学校のイチョウの木に大発生していたクスサン若齢幼虫をマッチ箱に入れて,ペットにしていた.そのクスサン成虫とも何年かぶりの対面が出来た.と思い家に帰り同定したらヤママユガのようだ.しかし,『ガ』とはいえ綺麗なものは綺麗である.
2007 .8.27
ワモンゴキブリ 駆除
本種が主に生息している環境は,小笠原では屋外や民家内に普通に見られるが,都市部であればビルの様なコンクリート建築物の地下部分.
さらに限定すると,排水升の暗渠や湧水槽,雨水層等のマンホール内亀裂内部や壁面に多い.以前九州のある地下メンテ用通路内に壁面にびっしり付いていたのはさすがにぞっとした.
いわば,人が入って行きにくい場所に隠れて生息している.
チャバネゴキブリの様に食事中に出てくればムキになって駆除しようとするだろうが,どちらかというとビルの暗部にひっそりと生息している為,誰も本気でお金をかけてまで駆除する必要性を感じていないと思われる.その為住家を見つけると大量にいるのでびっくりして殺虫剤を散布するのだが,また簡単に死ぬので,それで満足してまたしっばらく放っておくと大発生をしているのを発見してびっくりする.この繰り返しである.
駆除したければ,計画を立て,防除の効果判定を行い,しっかりと指数管理をすれば,コントロールは可能と思う.
2007 .8.24
ワモンゴキブリ 飼育方法
以前も少し紹介したが本種は昆虫の中でも大きさがあり,飼育も簡単である為,世界中で研究用として飼育されている.従って様々な飼育方法があると思うが,その一例として当社で行っている方法をご紹介する.
餌,水,シェルターは以前ご紹介した通りである.
特別な事として,シェルターは幅が広くないと,成虫が入れない.
餌を大量に食べるのでこまめに補給する.しかし,1週間ぐらいは無くなっても問題ない様である.
チャバネゴキブリの様に一生が短くない為,死骸が溜まらない.
よって床替えは3,4ヶ月に1回やれば十分である.
2007 .8.23
ワモンゴキブリ卵鞘
ワモンゴキブリはどの様に卵鞘を保持しているか,観察してみた.
全体の2/3程を体外に突出させ残りの1/3を肛上板と肛下板でしっかりと挟み込んでいる.産下される前の卵鞘のなんと美しい事.卵鞘の外皮を通して中の卵の配置がわかるだろうか?
産下された卵鞘.シェルターに隠す様に産み付けられた状態.
この様な状態で産み付けられた卵鞘は孵化するが,次の写真の様にただ産み落とされた卵鞘は,食べられている事が多い.
イエゴキブリの時は,この様に産下されたものは,一つも孵化しなかった.
2007 .8.22
ワモンゴキブリ 幼虫
屋外種を採集してくると,時季にもよるが幼虫である事が多い.衛生害虫扱いされている種であれば,幼虫や卵鞘からでも種はわかるが,完全な屋外種となると成虫にしてみないとよく分からない種が多い.
ワモンゴキブリは,幼虫の形態は判明しているが,慣れないと何の種jかわかり難い.
初齢幼虫
終齢幼虫
2007 .8.21
ワモンゴキブリ 雌雄
ワモンゴキブリは雌雄がある(雌のみで繁殖をし雄が見つかっていない種もあるが).害虫として駆除される場合は,そんな事は全く関係ないかもしてないが,見分けは出来た方が気持ちよいのではないかと思い並べてみた.
左が♀,右が♂
背面から見た雌の特徴として,腹部が雄より太い,雄と比較すると前胸背板が広く,前翅が腹端を少し越える程度の長さである事がわかる.
もう少し,正確に見分けるには,腹部から見る事である.
左が♀,右が♂
殆どのゴキブリが腹部の見かけ上の腹節の数が雄と比較して,少ない方が雌となる.
こうしてみると,ワモンゴキブリもきれいに感じるが,生きている個体を捕まえようとすると,臭い分泌物を腹端部から出すのであまりハンドリングしたい種ではない.
2007 .8.20
世界のワモンゴキブリ
朝比奈正二郎著『日本産ゴキブリ類』の各論のトップに記されているゴキブリ.
本種はゴキブリ科 ゴキブリ属 ワモンゴキブリ となる.
Periplneta americana (Linne)
全世界の熱帯域に分布し,以前エジプトに行った人より,ゴキブリ好きな私にとエジプトのゴキブリをあしらったブローチ??を頂いたのだが,中に入っていた種はワモンゴキブリだったのには驚いた.あんなものをおみやげにして,買う人は殆どいないと思うのだが,ちょっと探したが出てこないので,見つかったらお見せしたいと思う.
国内の分布は沖縄・小笠原では屋外にも普通に見られ,本州都市部の地下に生息分布を広げている.
東京でも地下街にはわりと普通種となりつつあり,アメ横などは夏の夜間路上を徘徊している個体をよく見る.
近年のトピックスとしては,ヒューストンミュージアムで以下のような案内を出した.
“Cash for Cockroaches
Healthy, live American Cockroaches needed for new Insect Wing.“
直訳すると,「new Insect Wingにて,生きのいいワモンゴキブリが必要となったので購入します.」のような内容.本文には25¢/1匹(1000匹締め切り)とあった.
はたして集まったのか興味はあるが,ちょっと大きなケージで飼育していればすぐに1000匹ぐらいには増えると思うのだが.
本種成虫は前胸背板の『ワモン』に様々なタイプがあり,典型的な紋が出るものから,トビイロゴキブリのように紋が消えかけるものまである.
2007 .8.17
ネコノミ Ctenocephalides felis BOUCHE
昨日,ノミの調査に行った.我々が行った日は残念ながらノミは死骸しか見つからなかったが,ネコノミであった.原因は天井に侵入した中型哺乳動物.糞の状態からしてハクビシンではないかと考えられたが,宿主を確認していないので断定は出来ない.
近年,ヒトノミやイヌノミは絶滅に瀕しているらしく,私も一度も見た事がなければ,話すら聞いた事がない.犬にネコノミが寄生しているのは今や普通らしい.(A大学,U教授)よってタヌキやハクビシンもネコノミの被害にあっていると思われる.
ノミ類は完全変態の昆虫で,幼虫はウジの形をしており,室内のゴミ類を餌として成長し,蛹になり脱皮してやっと吸血する成虫となる.
従って,吸血されないようにするには,寄主である野生動物を身の回りから遠ざけ,またはきれいに洗い,幼虫の生息している寝床を掃除しなければ,幼虫から成虫へと成長を遂げたノミが吸血に向かってくる.
2007 .8.16
脱皮殻を食べる 2
共食いをして,さらに脱皮殻を食べる節足動物は他に何がいるのだろう.
私が飼育している中ではムカデぐらいか.
カマキリは脱皮殻を食べるのであろうか?真面目に飼育した事がないが余り見た事がないような気がする.爬虫類の餌にしているコオロギは共食いはするが,脱皮殻を食べるか?これも余り見た事がない.
そこでムカデの脱皮.こうゆう瞬間を見るとどんな生き物でも,命がけで生きているとつくづく思う.
2007 .8.15
脱皮殻を食べる
脱皮は昆虫にとって生死をかけた一大イベントである.その為クワガタなどの甲虫類・ガ類等は,蛹になる際,繭状の安全地帯を作り,その中で蛹化,そして成虫になる.
しかし,今盛りの蝉やトンボなどは普段潜んでいる安全な泥中や土中より危険が一杯の地上で成虫へと変化を遂げる.それ故その時間帯は外敵が活発に行動していない明け方であったり夕方であったりするのではないかと思う.
ゴキブリはどうか?一般的にゴキブリは集団で生活をおこなう昆虫である.生息密度が低くなると成長が遅くなる生き物である.その為,脱皮も皆が周りにいる状況で行われる.時間帯もいつ見ても白いゴキブリがいるので,特に決まった時間はないと思われる(きちんと調べて報告したい).この時生息環境に十分な栄養と餌が足りないと,脱皮の瞬間をつき仲間に食べられる.共食いである.
ムカデやクモ類はまとめて飼育していると頻繁に行っているが,昆虫で共食いをする種を思い浮かべても余り思い出せない.私が飼育した昆虫ではカマキリ類とサシガメぐらいか.
と言うわけで,話が分からなくなってしまったが,大方の昆虫は脱皮殻など食べないような気がするがどうであろう.そんな中ゴキブリは結構食べている.
チャバネゴキブリは腹部と脚を残して後は食べてしまう.
トルキスタンゴキブリも同時期に脱皮したが同じ様な部位を食べ残している.
2007 .8.14
チャバネゴキブリ脱皮
Periplaneta属は大型の由縁か脱皮に結構な時間が要していたが,一番身近なチャバネゴキブリはどうであろうか?小型ゆえに結構早いと思われる.
そこで,脱皮直前の終齢幼虫を別様器にとりわけ,観察した.
完全に脱ぎ捨てるまでに要した時間は約18分.(写真左上から左下まで)
次に向きを変え翅が完全に伸びきるまで約13分(写真下左から2番目まで)
右下の様に翅がきれいにたたまれ,色づくまで約2時間(右下写真まで)
全てに要した時間は約3時間,コワモンゴキブリの半分以下となった.
小型の為予想していた通り早い脱皮となった.
脱皮が始まり完全に古い骨格を脱ぎ捨てるまでの間がやはり無防備であろう.
この時間だけ比較すると,
コワモン30分.
チャバネ18分.
トータルの時間から比較すると,コワモンもかなり頑張っているようである.
2007 .8.13
オレンジヘッド 幼虫
先日紹介したEublaberus属の2種の幼虫を紹介する.成虫も似ているようで似ていない.しかるに幼虫はどうか,やはり似ているようで全然似ていない.distantiの方が艶が濃く,前・中・後胸背にハッキリとした黄色のスポットが入る.幅に関しては同じ齢でも初期と後期で形態が変わる為,比較の対象にしない方が良いと思う.
こちらがprosticus.
よく見るとdistantiと同じ位置に,前・中・後胸背に黄色のスポットが入るが,非常に薄く,よく観察しないと分からないと思う.
しかし,両種とも幼虫は人の手を恐れないようで,ケージに手を入れておくと袖の中まで登ってくる.
両種とも卵胎生で,現在prosticusどんどん子供が生まれている.
2007 .8.10
オレンジヘッド
現在日本国内に流通している『オレンジヘッド』は以下の2種のようである.
・Eublaberus prosticus Erichson 写真左
・Eublaberus distantii (Kirby) 写真右
両種とも前胸背板には人の顔のような模様が浮き出る為,ユウレイゴキブリとも呼ばれているようである.
Distantiiの方がprosticusより大きくなり,全体的な色合いも淡い色彩である.
顔のおもしろさから行くとprosticusの方が優っている.
Distantiihaは現在幼虫しかいない為,標本で勘弁して下さい.
見ていて飽きない.
前胸背に顔が出るゴキブリは他にもArchimandrita属やBlaberus属が有名である.
2007 .8.9
なぜムカデがでるのか?
普段の餌はコオロギの終齢をあげているが,たまにメニューを変えてゴキブリを与えている.今回はクロゴキブリ中齢幼虫を与えた.いつも与えるコオロギの2倍はある.
ムカデやゲジは肉食性である.特にムカデは大きな顎で噛みつく為問題になっているが,家の中のクロゴキブリを食べているのです.いわば益虫の面も持っている.全国農村教育協会発行の『野外の毒虫と不快な虫』には床下に多く生息しているカマドウマを食べているアオズムカデの写真がある.
ムカデが室内に侵入してくる箇所は,殆どが床下から来ると考えられる.マンションの場合は床下と繋がっている箇所は殆ど無い為,その箇所を見つけられれば,侵入対策出来ると思う.しかし,一戸建ての場合は外部と繋がっている箇所は無数にある為,侵入箇所を塞ぐのは不可能である.従って駆除は非常に困難な事が考えられる.
床下や室内の餌になる昆虫を減らす.建物外周の整理整頓を行い,潜み場所を無くす.等を実行しながら出るものはその都度対処した方がよい.
長目のピンセットを用意しておき,つまんで適正に処理する.
一番下が普通のピンセット(ダニうかし兼用)
上の2本が野外採取や,日常ムカデを扱うピンセット.
竹製や木製の方がムカデの体には傷が付きにくそうだが,そんなものを使うとムカデの歩肢が滑らない為,ピンセットから外す事が出来ず,ピンセットを登ってきて噛まれる.ムカデには使わない方がよい.
2007 .8.8
オオムカデに付くダニ
私を噛んだムカデである.父島産.
野外から採集してきたばかりの個体は,特にダニが目立つ事はないのだが,飼育していると体表にダニが目立って付着する.これを取るのに巷で噂されているアイテムや,甲虫用のダニ取り剤を各種使ったが駄目であった.従って現在ピンセットでつついてダニをうかせ,すかさず粘着綿棒ですくい取るのだが唯一の方法となっている.
なぜこんなにも吸着力が強いのか?
拡大してみると腹面に吸盤らしきものが確認できた.食いついて取れ難いのではなく,コバンザメのようにくっつく構造になっているようだ.
2007 .8.7
オオムカデ刺咬
我々の仕事は害虫の駆除であるが,研究の為飼育していると,やはり愛情が湧いてくる.このオオムカデも15㎝ほどに成長し,ぷりぷりに太ってきている.そろそろ交尾をさせたいと考えているが,♂♀よく分からない.
オオムカデ類の餌の取り方は大きく分けて2通りあると思う.
一つは目の前を獲物が通過したとき,頭部に近い歩肢(足)と大顎(顎肢)で素早く補足し,毒を打ち込む方法.
二つ目は,ムカデは警戒すると,最後尾の歩肢対を持ち上げて移動する.これに触れると瞬く間にこれに捕捉され,頭部が尾部を軸に反転してきて『ガブ!』とやられる.
頭部に気をとられているとこの様になる.噛まれた直後.
結構痛い.しかし,オオトビサシガメに刺されたときの方が強烈に痛かったと思う.
約2週間後.
2007 .8.6
森の家族 エサキクチキゴキブリ
エサキクチキゴキブリSalganea esakii Roth はオオゴキブリ同様倒木の分解者として森に生活している.しかし,分布は九州から屋久島までの限られたエリアである.
翅が退化し痕跡しかない為,清潔??そうに見える.
私が飼育している個体は,今年,友人が屋久島に行った際, 捕獲してくれたもので,まだ飼育歴が浅く生態がよく分からない,また殆どが材中にもぐって生活している為,姿も殆ど見る機会がない.よってよく分かるまでは,ご紹介のみ.
初齢幼虫.
本種はオーストラリアに生息するヨロイモグラゴキブリ(Macropanesthia rhinoceros)の様に育児を行うと言われている.幼虫はシロアリのように白い.何齢まで白いか繁殖したら調べてみたい.
2007 .8.3
イエゴキブリ卵鞘
産み落とす方法はワモンゴキブリ等を代表するPeriplaneta属と同様に,物陰に唾液等により動かないように付着させる方法をとる.長さは12㎜内外.外見はトビイロゴキブリに大きさなどにている.
写真中央のように付着させる.右端に見えるように産み捨てたものは殆ど孵化せず,仲間に食べられてしまう事が多い.
産卵中の♀.
2007 .8.2
イエゴキブリ Neostylopyga rhombifolia (Stoll)
ゴキブリ駆け出しの頃は,何とも気色の悪い色彩だと思っていたが,ゴキブリを知ってくると,稀少な種だけあってきれいに見えてくるから不思議な物だ.
しかし,なかなか捕まえることは出来ない.
ゴキブリ研究家のI女史より親を頂き,やっと繁殖しだした.
軌道に乗るまでは,結構色々と苦心した.
飼育してみての感想は,ニオイがPeriplaneta属よりくさい.
体がもろい(簡単に脚が取れてしまう).
増え始めると,急激に増える.
ワモンゴキブリの様にタフではなく,屋外種の様にどこかもろさがある気がする.
沖縄でも最近見かけなくなったと聞いており,見た目は強烈に不快害虫になるかも知れないが,このハデな黄色と黒のコントラストはどこか「色男,金と力はなかりけり」とでも言いたげな,実は弱い昆虫なのかもしれない.
2007 .8.1
マウスとクマネズミ子供
ネズミ駆除は,侵入対策,粘着シート・捕獲箱による捕獲や,巣の撤去等の複合的な作業により行われる.
すると巣を暴いたときに生後間もない幼獣が良く捕獲される.
クマネズミ飼育ケージ内で,子育てをしているケージがあるときはそちらに入れるのだが,今回良い状況のクマネズミ夫婦がいなかった為,たまたまハツカネズミが子供を育てていたので,そのケージに入れてみた.
白い中に茶色が2匹仲良くお乳を飲んでいる.
ネコが子犬を育てる等,科が違っても育てるぐらいだから,大して珍しくもないのであろうが,この様な状態を間近に見るとやはり感動してしまう.
2007 .7.31
カマアシミギワバエ亜科 Ochtherinae
営業所より変わった昆虫が送られてきた.
カマキリのような脚を持つハエである.
カゲロウの仲間に同じ様な脚を持つ「カマキリモドキ」がいるが,
本種の方が脛節が太く,力強く感じられる.
本種の含まれるグループはミギワバエ科で,多くのミギワバエ科幼虫は水中の腐食植物質や微生物を食しているが,本種幼虫はユスリカなどの幼虫を,成虫は他の昆虫を捕食しているらしい.
成虫口器周辺の拡大である.
顎のような物は無く,どの様に食べるのか非常に気になる.確認できればまた,その様子をご紹介したい.
引用文献
田中和夫(2000)屋内害虫の同定.(2)双翅目の科の検索表.家屋害虫
2007 .7.30
ヤエヤママダラ 幼虫
1齢幼虫の体長6㎜内外.本種は卵胎生であるがゆえ卵鞘を体内で保護し,脚の生えた幼虫を産む.その数は飼育環境が複雑なのでは数えたことはないが,一度一旦体外に出された卵鞘が脱落した物を数えたことがあるが,片側50個,2列に並んでいるので,単純に考えても100匹は生まれる.実際今回も沢山いる.
白いのが生まれたての幼虫,その上のスジのある茶色い物が母親の翅.
本種1齢幼虫は国内最大種だけに大きい.チャバネゴキブリの中齢幼虫はある.
マダラゴキブリ科の幼虫は,どれも水が好きで床替えの最中に水中に落ちてしまったが,尾端を水面に出し気持ちよさそうにジッと水につかって動かない.
屋外種の特徴として,人の手を恐れないのか何なのか,平気でどんどん登ってくる.一寸目を離すと袖から中に入ってくる.
2007 .7.27
ヤエヤママダラゴキブリ Rhabdoblatta yayeyamana Asahina
ヤエヤママダラが産仔し,生息密度が高くなったのでプラケ大に移し替えた.
本種は国内のゴキブリでは最大種で,体長はワモンゴキブリをも凌ぐ.
石垣島産♀個体 51㎜
比較(左♂,中ワモンゴキブリ,右♀)
体色(上面から見た目の色合い)も衛生害虫種とは違い落ち着きのある色で,森林内樹皮や落ち葉に紛れると分からなくなる.
動きは意外と素早く,結構飛ぶ仕草はするが,逃走が怖くて自由に飛ばしたことはない.
飼育に関しては,中齢幼虫以降で採集した個体は,F1の終齢幼虫までは比較的簡単に行くが,私はF2まで行かせた事が無く,今回は前回の失敗もふまえ,色々と策を練っている.飼育難易度は私的には難しいクラスに入る.(グリーンバナナとも少し違う,滅びに向かった個体群は何をやってもうまくいかなくなる.)
2007 .7.26
ミナミヒラタゴキブリ幼虫・卵鞘
中齢幼虫です.
本種1齢幼虫は非常に小さく,飼育しているプラスチックケースに,飼育法でも紹介した炭酸カルシウムや,バターの登攀防止剤を塗っておいても簡単に突破し,フタとケースの間に挟んでいる防虫シートに張り付いています.
卵鞘です.小さいです.物に貼り付ける様に産み付けますが,ゴキブリ科の様に隠す行動はとらないようです.
2007 .7.25
ミナミヒラタゴキブリ
ミナミヒラタゴキブリ Onychostylus vilis (Brunner von wattenwyl)
小笠原父島の林内でよく見かけるゴキブリです.倒木の樹皮の下,ビロウの枯葉等に潜んでいます.本種は沖縄本島,久米島,宮古島,石垣島,西表島などにも生息している(朝比奈正二郎著 日本産ゴキブリ類参照).
父島産
非常に動きが速く,生きたまま捕獲しようとすると,取り逃がすことが多い.ビーディングに限る.ただ,小笠原は何となく捕虫網が使いにくいので,いつも手取りをしている.この種の生け捕りは冬場の動きの鈍い時期に行うのが一番である.
2007 .7.24
ブラーミニメクラヘビRamphotyphlops braminus.
殆ど見る機会がないのがこちら,ブラーミニメクラヘビRamphotyphlops braminus.
探してもなかなか見つからない.側溝に落ちていると思っていたが,ミミズしか出てきたことがない.
本種は小笠原では外来種とされている.分布は熱帯・亜熱帯で本土でも九州以南に分布.
見た感じはミミズ,手にのせると尾部の突起を手に食い込ませるような感じで,何となく不快な感じがする.しかし,ちゃんと鱗はあるしミミズでないことはわかる.
これがその突起.鱗も見て取れる.
拡大ついでに頭部も.眼らしき物がある.
本当に小さい.
2007 .7.23
オガサワラと名は付いているが,広域に分布している.
2月に父島に渡島したときは街中より山中で多く見たが,今回は夜,建物の壁に多く張り付いており,ホオグロ2に対しオガサワラ8ぐらいの割合で見かけた.
動きはホオグロの方が素早く,捕まえようとして逃げるのはホオグロ,捕まってしまうのがオガサワラ.そんな感じで少し鈍い感じでそこがまたかわいいと思うのです.
スリムで清楚な感じがする.(父島産)
物に貼り付けて産卵(父島産)
ホオグロヤモリ(父島産)
2007 .7.20
コワモンゴキブリ 脱皮
小笠原父島で捕獲した,“コワモンゴキブリ”の脱皮に調度立ち会ったのでご覧に入れます.
よく白いゴキブリを見たと聞きますが,脱皮直後の状態をその様に思われたのでしょう.
胸背部にわずかな亀裂が縦に入り,そこを中心に古い外骨格を脱ぎ捨てます.
完全に脱ぎ捨てるまでに要した時間は約30分.(写真左上から真ん中まで)
次に向きを変え翅が完全に伸びきるまで約60分(真ん中から左下まで)
右下の様に翅がきれいにたたまれ,色づくまで約6時間(右下写真まで)
全てに要した時間はなんと7時間30分.
脱皮の中で一番無防備なのが真ん中の頃まで,過密状態で飼育していると,この状態の時に他の個体に齧られていることがあります.軟らかくて美味しいのかも知れません.
2007 .7.19
小笠原 その他の爬虫類 オガサワラトカゲ
グリーンアノールの他に生息する爬虫類は以下の通り,
・オガサワラトカゲCryptoblepharus boutonii nigropunctatus
・オガサワラヤモリLepidodactylus lugubris
・ホオグロヤモリ Hemidactylus frenatus
・ブラーミニメクラヘビRamphotyphlops braminus
唯一在来種のオガサワラトカゲ.
父島では現在,その姿を見ることが少なくなってきている.生息しているポイントを知らないと偶然では見ることは難しいかもしれない.
動きも非常に素早く,アノールのように目立たない為,野生の状態で写真を撮るのは大変である.
本土のニホントカゲと違い小型でかわいい.
卵です.
2007 .7.18
キシタアシブトクチバThyas coronata (Fabricius, 1775)
蛾類は,貯穀害虫のノシメマダラメイガ等の小型種は,興味も有るし種もある程度わかるのですが,それ以外の屋外種はさっぱりわからないので,本種を見つけたときはちょっと感激しました.
家に帰り,調べてみて普通種のようで,ちょっとがっかりですが,ビロードのような前翅,すれていない外観は印象に残っています.
滞在したペンションの電灯に飛来したまま,寒さで動けず何日も同じ場所に止まっていました.
蛾流れで後一つ,どしゃ降りの母島で見慣れた蛾幼虫を発見,クワ科の植物に群れていました.アメリカシロヒトリ幼虫です.本当に何処にでもいる困った種です.でも雨だと本当に昆虫は何もいないので,ちょっと嬉しくなってしまいました.
中の平にて