ゴキブログ一覧
2009 .7.31
トルキスタンゴキブリ 爪間板
餌昆虫としてマダガスカルゴキブリの座を奪った感のある本種.
他にも餌ゴキブリとしてはアルゼンチンゴキブリ(デュビア)等があるが,
マダゴキと同じく卵胎生.
初齢幼虫を集めるのも大変である.
そして硬い.
それに比べ本種は卵鞘を生むので齢数管理がし易い.
また,1齢幼虫は小さく,
爬虫類ハッチベビーから国産サソリなどの小型種の餌さとしてちょうど良い.
卵鞘を集めておくと孵化した幼虫を集めるのも楽である.
また,最大の特徴はプラケなどのケースを登らない事.
これはトルキスタンゴキブリ脚先.
ゴキブリが垂直面を登るのは,爪間板と呼ばれる器官が発達しているためであるが,
本種はそれが退化(進化?)しており,脱走の心配が少ない.
こちらは左がワモン,右がイエゴキ.
爪の間の白いスライム状のものが爪間板.
これを吸盤のように垂直面に張り付かせ登っていく.
2009 .7.30
トルキスタンゴキブリ
トルキスタンゴキブリ Blatta(Shelfordella)lateralis別名 チュウトウゴキブリ
ペット業界では「レッドローチ」として爬虫類の餌に利用され,流通している.
私もオガサワラトカゲの飼育に大変重宝している.
成虫形態は,雌雄異形で♂は薄茶色の体色をしている.
本種に近似種のBlatta(Shelfordella)gussakovskiiという種もおり,
違いは,前翅基部に黄白色の条紋が無いなどで見分けが付く.らしい.
♀は濃茶色で短翅.
本種は,古くは1981年に初めて国内で生息が確認されて以来,
現在でも国内で害虫として定着している.
幼虫は雌雄同形態.
頭胸背面は明茶色.腹部は黒に近い濃茶色のツートンで見分けやすい.
過去に幼虫の同定依頼を受けた事もあり,
国内での分布拡大の恐れがあると思われる.
2009 .7.29
標本整理
たまっていた標本整理をした.
ゴキブリが8割以上.
中でもチャバネゴキブリ科が一番多い.
ついでワモンゴキブリ.
外国種は繁殖したら作ろうと思いつつ,
国内採集個体の標本作成に時間をとられ出来ない.
その他がクモ・ハエ・貯穀害虫など.
この辺も同定後の整理となる為,
特にハエ類は未同定が増えてたまっていく.
2009 .7.28
ヤエヤマキスジゴキブリ 脱皮
脱皮直後と分かっていても,この白さは驚いてしまう.
まだ真っ白.
少しすると前胸背の
黒班の模様が出てくる.
キスジゴキブリは黒班が崩れず,まるまった形であるが,
本種は見ての通り突起状に黒班部が飛び出る.
2009 .7.27
クロゴキブリの落ち着きどころ
いつもの屋外飼育室.
最近コップトラップや,コオロギ生け捕りトラップにクロゴキブリが殆ど入らない.
冬場の卵鞘撤去や,コップトラップの地道な駆除が功を奏したかと油断していたら,
あまり使わない扉の下に成虫が集合していた.
等間隔に整列している.
車間距離ならぬ,ゴキブリ間距離は触角の先端が他個体に触れる距離に近い.
飼育環境下ではこんな事はあり得ない.
拡大.
左から♀,♂,♀,♀でしょうか.
今年の新成虫たちであろう.
写真をとっていたら,この後,皆思い思いの方向へ逃げていきました.
この中の1♀がこの夏に生むと考えられる卵鞘数は少なく見て20個.
その1卵鞘より平均25匹の幼虫が孵化すると,
なんと1♀より500匹の幼虫が生まれる計算になります.
やはりゴキブリの駆除は本腰を入れないといつまでたっても終わりがなさそうです.
2009 .7.24
オオゴキブリ
オオゴキブリ科 Family Panesthiidae
オオゴキブリ属 Genus Panesthia Serville
オオゴキブリ Panesthia angustipennis spadica(Shiraki)
ゴキブリの中で最も昆虫扱いを受けている種ではないだろうか.
食性も通常のゴキブリは雑食だが,オオゴキブリ科は朽木を食べるので,
クワガタなどの甲虫類と同一的なイメージを持ってくれている様である.
雌雄ペア.
管理といえば,たまに飼育ケースのマットに水を与える程度.
ここ半年ほど姿を見たことがなかった.
しかし,この前リュウキュウクチキゴキブリが餌切れで外に出ていたことを考慮し,
本種も床換えをした.
案の定,中の朽木はボロボロに粉砕されており,
その中から幼虫19匹が出てきた.
まだ生まれて間もないのだろう.
通常,ゴキブリ飼育は中プラケを使用しているが,
他のゴキブリであれば中プラケで何百匹も,まとめ飼育しても問題ないが,
オオゴキブリ科のゴキ達は,成虫になると,
2,3ペアが限界のような感じである.
2009 .7.23
ヤエヤマキスジゴキブリ 幼虫
幼虫は茶褐色で見た目はモリゴキブリ属みな似ている.
終齢幼虫.
幼虫での同定は大変そうである.
1齢幼虫.
非常に小さな幼虫で,体色もしばらくは白い状態のまま.
右に見えるのは卵鞘.
2009 .7.22
ヤエヤマキスジゴキブリ
チャバネゴキブリ科 Family Blattellidae
チャバネゴキブリ亜科 Subfamily Blattellinae
モリゴキブリ属 Genus Symploce Hebard
ヤエヤマキスジゴキブリ Symploce yayeyamana Asahina
体長15mm前後.
キチャバネゴキブリより一回り小形で,前胸背に黒斑が入る.
黒班の形がキスジゴキブリと違い複雑な形状である.
成虫.
雌雄は腹部の広がりから見ると♀のようだが,確認忘れました.
卵鞘をつけた♀.
体の割には太い卵鞘を産む.
分布は石垣島,西表島.
2009 .7.21
Archiblatta hoevenii
ついに標本になる日が来ました.
手元に着てから約4ヶ月.
この大きさのゴキブリであれば,他属の例から推測するに,
半年以上は楽に生きそうである.
頭部拡大.
改めて手にとり,細部を観察すると,昆虫の素晴らしさが実感できます.
多くのゴキブリの場合,この頭部は前胸の下面に隠れ,
上から見え難くなっています.
それが,本種がゴキブリらしくない(私だけ?)理由です.
後方より.
世界のジャングルには同属でもっと巨大な種や,色彩が派手な種が生息しているかもしれません.
いつか,アマゾンのジャングルの中でゴキブリ採集をしてみたいです.
2009 .7.17
キチャバネゴキブリ
チャバネゴキブリ科 Family Blattellidae
チャバネゴキブリ亜科 Subfamily Blattellinae
モリゴキブリ属 Genus Symploce Hebard
キチャバネゴキブリ Symploce japonica (Shelford)
体長17mm前後.
体色は薄明茶色の単色.
チャバネゴキブリ科の中では大柄な種.
♂成虫.
♀成虫.
分布は南西諸島,沖縄,九州南部で記録されている.
八丈島産の本種の生態研究では,クロゴキブリのように越冬による加齢調整が行なわれるらしく,
生活史は2年越しに及ぶらしい.
2009 .7.15
アマミモリゴキブリ
チャバネゴキブリ科 Family Blattellidae
チャバネゴキブリ亜科 Subfamily Blattellinae
ホソモリゴキブリ属 Genus Episymploce Bey-Bienko
アマミモリゴキブリ Episymploce amamiensis Asahina
リュウキュウモリゴキブリより1回りほど大型で細身の種.
♂成虫.
♀成虫.
雌雄の形態は大差なく,腹端等細部を見る必要がある.
終齢幼虫.
分布は奄美大島や徳之島などの鹿児島県所属の離島.
沖縄本島以南は私の友人や,旅行者も良く行くので,
ゴキブリを入手する機会もあるが,
鹿児島から沖縄本島の間の島々は,ゴキブリを扱える知り合いが少なく,
この島々にしか生息しないゴキブリは入手し難い.
今回,ある方のご手配のおかげで入手する事が出来た.
感謝,感謝.
2009 .7.14
クマネズミいろいろ
前回の幼獣であるが,余りにも逃げないので悪戯して見た.
指を近づけると興味を持ったのか追って来る.
そんな事をしていたら肩に載って来る仔まで現れた.
全く人間に近寄らない警戒心の強い個体もいるが,
このように警戒心の無い(好奇心の強い?)個体もいる.
ふと足元を見ると,この状態.
ここは飼育施設内だから良いが,
駆除が行われている建築物内であれば,真っ先に捕獲されるネズミたちであろう.
こうして,都会の野生クマネズミは臆病な警戒心の強い個体だけが残り,
我々,PCOを苦しめる個体群が繁栄するのだと考える.
2009 .7.13
クマネズミのグルーミング
体重100g未満(目測)の♂幼獣.
全然逃げないのでしばらく観察していた.
さかんにグルーミング(毛づくろい)をしている.
今では余り使わなくなったが,粉状の殺鼠剤がある.
これは,ネズミの良く通る経路に散粉し使用する.
ネズミは狭い穴や細い通路などを,鬚や体を接しさせながら移動する.
その際に体(鬚・足の裏や体毛等)に,この殺鼠剤を付着させる訳である.
そして,このようなグルーミングにより殺鼠剤を体内に取り込ませて効果を発揮する.
2009 .7.10
ドミノローチ Therea olegrandjeani
同属にTherea petiveriana がいる.
最近ペットローチとして一般的になってきた.
体長は♂で25mm内外.
♀で成熟すると30mmを超える.
上が♂,下が♀.
触覚がもう少し太短ければ,ゴキブリには見えない.
しかし,これはゴキブリだから良いのであって,
甲虫だったらあえて興味もわかない.
♂腹面.
腹端まで腹節が細かく詰まる.
目視できる腹節は8節.
♀腹面.
♂より明らかに少なく,6節しか確認できない.
見かけ上の6節目は実際の7,8節が融合して1節に見せている.
2009 .7.9
アイスポットローチ羽化
成虫の形態が非常に変わった特徴をしている本種.
一昨年飼育が上手くいかず,未交尾の♀成虫1匹になった際,
♂成虫を快く貸して頂けた方のおかげで,繁殖.
その時の子供が成虫になり始めた.
脱皮直後は真っ白で前胸背の特徴は目立たない.
本種は長期間飼育してみると,オオゴキブリ科のように,
地中に潜りっぱなし.
夜間たまに地表に出てきているのを見るだけで,
意外と飼育が楽しめる種ではない気がする.
触ろうと思うと掘り出さないといけない.
♂の成虫.
脱皮は地中で行われ,本当はこんなふうに出してはまずいと思うのだが,
やってしまったのでそっと戻しておいた.
飼育開始当初は中々上手くいかず,幼虫を多数死なせた.
今回の子供たちは別種と思えるほど普通に成長している.
2009 .7.8
オガサワラゴキブリ 幼虫と卵鞘
幼虫の胸背部は,光沢のある濃褐色.
腹背部よりつや消しの褐色.
よく土にもぐり日中は潜りっぱなしであるが,
夜間は結構出てきて徘徊するようで,プラケの炭カルが意外と擦り減る.
ガラス面を登らない種と勘違いすると,大脱走される.
卵鞘.
片側21個×2列で42個の卵が並ぶ.
本種は卵胎生で卵鞘を保持した♀は腹部が大きく長くなる.
2009 .7.7
オガサワラゴキブリ
オガサワラゴキブリ科 Family Pycnoscelidae
オガサワラゴキブリ属 Genus pycnoscelus Scudder
オガサワラゴキブリ Pycnoscelus surinamensis(Linne)
体長18mm内外の小型種.
分布は熱帯種にしては広く九州以南,小笠原諸島等に分布する.
生息場所は土中でどこにでもいるイメージがある.
左の翅の長いほうが♂.
右の腹端の出ているほうが♀.
2009 .7.6
マダラサソリ
サソリ目
キョクトウサソリ科
マダラサソリ Isometrus europaeus
日本に生息するサソリはヤエヤマサソリと本種 マダラサソリの2種.
体長45㎜内外.
体,蝕肢,歩脚とも細長く,ヤエヤマサソリより体長は大きいが,華奢に見える.
日本では八重山諸島,小笠原 父島 母島 硫黄島に分布しているが,
父島・母島は,一説ではオオヒキガエルなどの外来種の捕食圧の影響で,
ここ何年も目撃されたという話も聞かない.
私も,行く度に探すが見たことも,聞いたことも無い.
しかし,硫黄島には普通にいるようで,木の割れ目などで見かけるらしい.
キョクトウサソリ科は強毒の種が多く,
国外種のキョクトウサソリ科は全て特定外来生物に指定され,
一部特例を除き飼育等は出来ない.
そんな中,唯一国産種ということで飼育できるキョクトウサソリ科である.
それが子供を産んだ.
見えにくいが,親の上に無数に仔サソリが乗っている.
1匹はぐれ仔サソリがいた.
もう親離れしたようだ.
2009 .7.3
リュウキュウクチキゴキブリ
オオゴキブリ科 Family Panesthiideae
クチキゴキブリ属 Genus Salganea Stal
リュウキュウクチキゴキブリ Salganea taiwanensis ryukyuanus Asahina
オオゴキブリ科のゴキブリは生活環境が朽木の中であるため,
普段はマットの中や,やはり朽木内に潜み,
なかなかその姿を見ることは無い.
分布は沖縄本島より南では発見されておらず,
奄美大島・徳之島までの離島に生息.
本種は30mm内外のオオゴキブリに似た種であるが,
大きさも一回りほど小型であり,,
成虫になると翅を咬みあい一様にこの個体のような一見短翅の外見となる.
たまたまケージを覗くと,ペアらしき成虫2匹と,
その周りに生まれたばかりの幼虫を発見.
数えると約20匹.
水容器の右上方マットの上にいるのだが,これでは判らないので拡大.
クチキゴキブリ属は,オオゴキブリ属よりも親子の絆は強いといわれ,
幼虫が成長しても同じ材中に集団で生活している.
急にケージの蓋を開けたため親は端に避難.
その後を追って集まる子供たち.
2009 .7.2
イエゴキブリ 孵化と卵鞘
イエゴキブリが孵化していた.
2匹写っていますが判るでしょうか.
下の白いのは羽化個体です.
こちらは産卵用に入れたコルク.
隙間に1齢幼虫が隠れていました.
それにしても,孵化が上手くいっていない.
3ケージに分けていた中の1つが孵化せず全滅したので,
卵鞘の中を確認した.
ほとんどが乾燥している.
乾燥していない卵鞘もこんな感じ.
中の卵を確認したら,卵鞘15個全ての卵が成長していない.
ワモンゴキブリやクロゴキブリの孵化しない単為生殖卵ですら,
卵の細胞分化ぐらいは観察できるのに,今回の卵鞘は全滅.
ということは,孵化しない原因として,
交尾が上手くいっていない可能性もある.
雌雄間違いなく混ざっているのに,交尾しない?
出来ない?
これはまた,面倒な課題を見つけた.
2009 .7.1
オオモリゴキブリ
チャバネゴキブリ科 Family Blattellidae
チャバネゴキブリ亜科 Subfamily Blattellinae
モリゴキブリ属 Genus Symploce Hebard
オオモリゴキブリ Symploce gigas gigas Asahina
♂成虫.
この写真実はスズキゴキブリの♂としてブログに書きましたが,
間違ってました.
こちら♀.
判りにくいですが,卵鞘つけています.
そうなんです.
気づいたきっかけは,スズキゴキブリの♂が卵鞘を付けたからです.
「ギョ!」と全て腹端部を確認したらオオモリゴキブリ♀でした.
♂腹端部.
オオモリゴキブリに間違いありません.
本種は雌雄とも同形.
体長は20㎜前後.
分布は石垣・西表と狭い.
沖縄本島との間の島にもいそうだが,未調査である.
と言う訳で,スズキゴキブリの項は訂正しておきました.