ゴキブログ一覧
2007 .11.30
ゴキブリ飼料に発生するダニ
ゴキブリを飼育するのに,ネズミの固形飼料を使用している事は以前にお伝えしているが,その餌入れの食べかすにいつも発生しているダニがいる事は以前より気がついていた.しかし,ゴキブリの繁殖や個体に対して危害を与える事はないと同定もせずに放置していたのだが,最近,私の体にダニ刺されのような発疹がたまに出るため,何がいるか調べてみた.
すると,発生している優占種は予想通りケナガコナダニであったが,その中に動きの速い意外なダニがいるのを発見した.
フトツメダニCheyletus malaccesisである.
家屋内の塵から見つかるダニは,私が見るものは大抵ミナミツメダニなので,
意外なトコに意外なダニがいる事に驚いた.
ツメダニ類は他のダニを捕食して生活しており,今回の場合はケナガコナダニを捕食し繁殖していたのであろう.
ツメダニ類は吸血はしないが,人の皮膚を刺し痒みを起こす原因となる.
ツメダニ類の累代飼育はした事がなかったが,入手が簡単になった.
2007 .11.29
スズキゴキブリ
スズキゴキブリPeriplaneta suzukii Asahina.
雌雄異形で雄はクロゴキブリとほぼ同じ大きさの淡褐色種.らしい.
実物を入手後詳細はご報告したいと思う.
これでは寂しいので綺麗なヤスデをご紹介.
マダガスカル産と言われる中型の綺麗なヤスデ.
名前はいろいろあるが,購入したときはマラガシーブラックミリピードAphistogoniulus sp..
本種の産卵は糞卵と呼ばれる本当の糞より少し大きめの糞状の排出物の中に卵を入れ産出する.
孵化まで行ったが幼体のうちに全滅してしまった.
2007 .11.28
ヤマトゴキブリ幼虫 和製ドクロゴキブリ
ヤマトゴキブリ1齢幼虫である.
体長5㎜内外.薄茶一色の特に特徴のない幼虫である.
しかし,終齢では個体差はあるが,この様な模様の出る個体もある.
拡大するとこうなる.
「デスヘッド」として有名な外国種
Blaberus craniifer Burmeister より迫力があると思う.
2007 .11.27
ヤマトゴキブリ
ヤマトゴキブリ Periplaneta japonica Karny
Periplaneta属の中のjaponicaである.
ウルシゴキブリはjapanna .ややこしい.
今,はやりの外来種ではなく,昔から生息している日本古来よりのゴキブリと考えられている.しかし,分布は韓国,中国にも生息し害虫扱いされていると聞く.
今度行って,形態的に同じか確認してみたい.
上が♂,下が♀.
写真からもわかる通り,本種は60種弱いる国内産ゴキブリの中で数少ない雌雄異形のゴキブリである.
このほかに,スズキゴキブリ Periplaneta suzukii Asahina,マルゴキブリTrichoblatta nigra (Shiraki),ヒメマルゴキブリ Trichoblatta pygmaea (Karny),ホラアナゴキブリ属等がある.
マルバネゴキブリは??としておきます.
2007 .11.26
マルゴキブリ産仔
このところ卵胎生の種が一斉に子を産み始め,大変忙しい状態である.
(他のゴキブリ達も当然毎日沢山卵鞘を産み続けている.)
今度はマルゴキブリTrichoblatta nigra (Shiraki)が子を産んだ.
わかりにくいが,手前に見える2匹が初齢幼虫である.
ヒメマルと同じく母親(長いひげ状のものが母親の触角である)に寄り添っている.
マルゴキブリは八重山諸島に生息しており,雌はヒメマルゴキブリを大きく扁平にした形をしている.
一見ゴキブリらしからぬ外見をしている昆虫である.
家屋内に侵入して家の中を這い回る事は殆どありえないであろう.
黄色い尾肢がチャームポイントのかわいいゴキブリである.
2007 .11.22
サツマゴキブリ脱皮
サツマゴキブリ Opisthoplatia orientalis (Burmeister)も卵胎生である.
たくさん飼育していると脱皮したての個体はよく観察できるが,始まる瞬間から観察できる事は殆ど無い.
これはこれでシリーズ化しようと思ったがなかなか立ち会えなっかった.
始まってから脱ぎ終わるまで約20分.
右下の体色がついてくるまで約60分要している.
これもやはり夕方から始まった.
そのあと普通は脱皮した本人が殻を食べるのであるが,本事例では,側でこの脱皮を見守っていた中齢の幼虫が食べていた.
まあ,中には脱皮の途中から本体を食べようとする者もいるので,それに比べれば平和的である.
2007 .11.21
ヤエヤマサソリ産仔
ヤエヤマサソリLiocheles australasiae
日本に生息するサソリであるが,体長2~3㎝程度の小さなサソリである.
本種の分布は宮古島,八重山諸島.
残念ながら本州には生息していない.
単為生殖をし,卵胎生で仔サソリを産む.
毒はあるがその毒針は人の皮膚を通す事は難しいようで,刺された事はない.
ここ数日,卵胎生の生きものが沢山出産した.
南の島の小型節足動物は涼しくなり始めの今時産むのでしょうか.
それとも年中産んでいるんですかね.
2007 .11.20
モリチャバネゴキブリ採集
アルゼンチンアリ採集ついでに以前磯子区在住の昆虫研究家U氏に教わった場所に行ってみた.
私の影がバッチリ入ってしまったが,あまり写真を撮らなかったのでこれで勘弁して欲しい.
石段脇の落ち葉の吹きだまり一箇所につき,少なくとも4~5匹はいたと思う.
合計モリチャバネ幼虫十数匹と雌成虫1匹を捕獲できた.
この場所はすぐ側に住宅があり,駅からも徒歩○○分の場所である.
まさかこんな時期に,道路脇の吹きだまりに,
ゴキブリが生息しているとは,普通の人は想像できないであろう.
ちなみに私の家のまわりにはクロゴキブリしかいない.
うらやましい限りである.
それにしても,人目は少し気になるが,自分で採集するのはいつでも何処でも楽しいものである.
2007 .11.19
アルゼンチンアリ採集
アルゼンチンアリLinepithema humile
外来生物調査のため神奈川県の生息地へ現在の状況と,標本としての個体を採集に行ってきた.
本種は外来生物法が施行され特定外来生物に指定されている.
したがって生きたままの移動は禁止されています.
ご注意を.
生息していた場所は以前発表になった場所の駐車場の残材下.
あわただしく動くアリを複数確認できた.
写真中央にぼけたアリが写っている.
こんな時海野先生であれば見事な写真を撮るだろうなと思いつつ撮ったがやはり全く駄目だった.
採集した個体はその場で70%アルコールのビンに収納.
体長は2㎜ほどしかなく,肉眼で本種と他のアリを見分けるのは慣れが必要である.
正確には実体顕微鏡により,細部を拡大し『日本産アリ類画像データベース』を参照すると,たちどころに同定できる.
2007 .11.16
グリーンバナナ交尾
グリーンバナナゴキブリPanchlora nivea (Linnaeus)
何年か前に簡単に飼育できるゴキブリと思いこみ,全滅に追いやってしまった本種.
今年に入りやっと2ペア確保し,その子達が交尾するまでになった.
よく雌が成虫になった頃雄がいなくなって滅んだと聞きます.
確かに雄の方が半月ほど早く成虫になり始めました.
上が雌,顔が人の顔のように見えませんか?
さていつ頃子供を産み始めるでしょうか.
2007 .11.15
都会育ちのハツカネズ
都内の営業所より,珍しい物が捕獲できたと持ってきてくれた.
銀座,丸の内界隈ではお目にかかれない,かわいいネズミ.
ハツカネズミMus musculusである.
本種は汎世界的に分布し,日本国内でもほぼ全域に生息している.
都市部では港湾地帯に多く,ドブネズミ,クマネズミと同一地域に生息する事もある.
英名 House Mouse
頭胴長60㎜程度の非常にかわいいネズミだと思う.
しかし,動きは非常に俊敏で,小さな隙間から脱出するため,ペットとして飼うには,勇気が必要であろう.
この子は残念ながら雄なので,子孫は残せないが,研究の為しばらく飼育しようと思う.
2007 .11.13
ゴキブリ書籍
知る人ぞ知るゴキブリをペットとして受け入れている本.
内容は,それぞれの生態を簡単に紹介している.
例えばガラスを登るか.産卵は卵胎生か卵鞘か.成虫体長.原産国.
成虫までの日数等がわかる範囲で記載されている.
日本のでは流通していないゴキブリが掲載されている.
私が購入したお店は,上野にある爬虫類ショップでたまたま在庫があり,購入できた.
2007 .11.12
沖縄のチャバネゴキブリ
沖縄におけるチャバネゴキブリBlattella germanica (Linne)の生息については,
朝比奈正二郎著「日本産ゴキブリ類」では生息しない事になっているが,現在では,飲食店等で普通に見られるようになったと聞きます.
(良く考えると沖縄の厨房に生息しているチャバネゴキブリBlattella germanica (Linne)は実物を見た事がなっかた,本日沖縄より届いたので確認したがチャバネであった.)
写真は大阪産のチャバネゴキブリ,沖縄には生息はしていないが、モリチャバネゴキブリ,沖縄本島のヒメチャバネを比べてみた.
左からヒメチャバネ,モリチャバネ,チャバネである.
残念ながら,オキナワチャバネはまだ標本すらない.
参考までに,オキナワチャバネの前胸背板を.
(朝比奈正二郎(1991)日本産ゴキブリ類,中山書店,東京)
2007 .11.9
ウルシゴキブリ 幼虫比較
幼虫の形態は,1齢幼虫ではよく似ている.
分布地が違うのでそれで判断するしかない.
しかし,成長と共にそれぞれ違いがハッキリしてくる.
クロである.非常に明るい色合いをしている.
黒色が強く表れている.
2007 .11.8
ウルシゴキブリ成虫比較 3
上の写真がウルシゴキブリ♂成虫腹端部背面,肛上板である.
下がクロゴキブリ.
ウルシは角が丸味を帯び,クロは角張っているのがわかる.
2007 .11.7
ウルシゴキブリ成虫比較2
翅を切ったついでにあまり見る事のない箇所を.
腹部背面の第1腹節にある分泌線の毛叢.
これはウルシゴキブリの分泌線.
下が拡大.
ここよりフェロモンを出し,雌を誘うらしい.
クロゴキブリの分泌線.
ただの開口部よりこの様な構造の方が臭いを出すには効率が良さそうである.
違いは各自判断して欲しい.
2007 .11.6
ウルシゴキブリ成虫比較1
成虫の腹部腹面である.左がクロゴキブリ,右がウルシゴキブリ.
最近ウルシが勢いが無くなっており,瀕死の個体を使用したためふ節が無いのは勘弁頂きたい.
ウルシ腹部の色合いは,クロというよりウルシ色である.
クロは黄色が強く感じられる.
背面である.
クロは淡い色合いであるのに対して,ウルシは黒く見える.
2007 .11.5
ウルシゴキブリ
ウルシゴキブリ Periplaneta japanna Asahinaはクロゴキブリの項で少し紹介しましたが,ここではもう少し掘り下げてご紹介.
まず分布地域.朝比奈正二郎著「日本産ゴキブリ類」には以下の記載がある.
平戸島近傍阿値賀島,男女群島女島,鹿児島県(阿久根,佐多岬),トカラ(中之島,宝島),伊豆式根島,八丈島,御蔵島,対馬豆酘(今の対馬市厳原町),屋久島,奄美大島,沖縄本島,石垣島,西表島,和歌山県鹿柴とある.
ネットで調べると,愛媛県,瀬戸内海鹿島,長崎県無人島,高知県あたりが自然分布.
北海道で温室内に発見された記録がある.
♂である.クロゴキブリによく似ている.
こちらは♀.この角度から見ると前胸背板が大きいのがわかると思う.
2007 .11.2
外来種セイタカアワダチソウ
セイタカアワダチソウ Solidago altissima.
本種は北アメリカ北東部原産のキク科多年生草本類.
日本への侵入時期は明治中期といわれる.
日本全国の河川敷や日当たりの良い空き地に繁茂する.
地下茎と種子により繁殖するため,短期間で大きな群落を形成する事が出来る.
本種は虫媒花のため花粉は飛ばさない.
従って花を観察すると様々な昆虫類が訪れており,見ていて飽きない.
この場所は長野市郊外の河原.
2007 .11.1
長野の生き物 ミヤマツノカメムシ
学会前日に泊まった旅館の室内で見つけた.
ミヤマツノカメムシ Acanthosoma labiduroides Jakovlev は体長13-16㎜.
北海道から九州まで分布.家屋内に侵入するのは希ではないだろうか.
秋の山地の旅館であれば,この時期カメムシの越冬は普通なので,室内で見られるか期待していたが,期待通りであった.
しかし,本種が家屋内に侵入するのは希ではないだろうか.
この時期に家屋内に侵入するカメムシ類で有名なのはクサギカメムシ・スコットカメムシ・マルカメムシであるが,さすが老舗旅館.
もてなしも冴えている.(嫌みではありません)
早速採集ケースに収納した.
一緒に泊まっていたメンバーも私と同類のため,こうゆうお客は大歓迎である.
翌朝,窓からの景色も最高であった.